雪の栂尾 高山寺の続きです。
山内にある石水院へ入ります。
石水院は、高山寺内で明恵上人在住時代から残る唯一の建物です。
建物が国宝指定されています。
客殿から廊下を渡って石水院へ向かうと、善財童子がお出迎え。
善財童子は華厳経に登場します。
童子が、文殊菩薩から普賢菩薩まで53人を訪れ、菩薩になるというお話。
(東海道五十三次の「53」はここからきています)
明恵上人は善財童子を敬愛していました。
善財童子木像は、「西村虚空」氏の作品。
熊本県出身の彫刻家であり、画家でもあり、「尺八」の世界でも有名な方。
2002年に87歳でお亡くなりになってます。
ここは「廂の間(ひさしのま)」と呼ばれるところ。
建物の西側です。
写真のように上は天井は無く、屋根。
左側が母屋で、母屋の西側に付け足した広縁のようになってます。
善財童子の正面側は蔀戸(しとみど)で仕切られ、
その外に縁があり、縁は建物をぐるりと廻っています。
この「廂の間」は立ち入りできません。
現在の石水院の建物は、もとは石水院ではなくて金堂の横に東経蔵としてありました。
当初あった石水院が1228年の洪水で潰れ、代わって東経蔵に春日・住吉明神を祀り
石水院の名を引き継ぎます。以降、中心的堂宇となります。
現在の場所へは明治22年に移築されて、その際に住宅様式に改変されています。
この廂の間は社殿であった頃の拝所の名残りです。
移築した理由は知りませんが、そのおかげで石水院は2019年の台風被害を免れましたね。
南側へ回ります。
前が少し崖のようになってます。
素晴らしい雪景色。
向こうが崖のように下っているから
紅葉時も木の幹が見えず葉だけを取り込むようになります。
高山寺に伝わる「鳥獣人物戯画(ちょうじゅうじんぶつぎが)」 。
「日本最古の漫画」とされる国宝「鳥獣人物戯画」の複製です。
石水院にあるガラスケースの中に一部が展示されています。
当時の世相風刺漫画です。
甲・丙・乙・丁の4巻からなり、
本物は東京国立博物館と京都国立博物館に保管されています。
平安時代末期から鎌倉時代初期に書かれたものとされますが、
作者は不明です。
どこかジブリっぽい。日本アニメのルーツですね。
今も昔もうまい人はうまい。
建物の東側。
こちら側も蔀戸があります。
石水院は建物が国宝指定ですが、
庭へ下りられないから建物全体を見れない。
一応、建物的には茅葺、一重入母屋造、妻入、向拝付となります。
国宝の建物だから外から見るだけで中には入れない、というのはありそうですが、
外から見れないけど中には入れる、というのもちょっと変わってますね。
陽が射すとキラキラしてきました。
差し込む日差し。
ただ、ただ、きれい。
陽が射す前の「しん」とした雪景色も、
陽が射して輝く雪景色も、
どちらもいい。
高雄 高山寺 石水院 雪 2022年 冬 (完)
それではまた。。。